ナイン・ストーリーズ J.D.サリンジャー
J.D.サリンジャーのもっとも有名な作品は、
ライ麦畑で捕まえて である。
1950年代にいつくかの作品を発表し、
1965年「フラニー」にはじまるグラース家の物語の5作目
「ハプワース16,1924」を最後に沈黙してしまった。
日本での翻訳が出版されるにあたって、
サリンジャーのエージェントからは、本の題名は英語の原題を文字通りに翻訳すべきこと
本の中にも、表紙にもジャケットにも作者の顏写真その他いかなる写真も使用しては
いけない、、など要請があったそうだ。
それゆえ、作者サリンジャーは、謎に包まれたアメリカ人気作家
として逆に、魅力を増していったのかもしれない。
「ナイン・ストーリーズ」は、1953年4月、サリンジャーがそれまで発表した
29編の短編小説の中から9編を選び、年代順に配列した短編集である。
その他の20編は、どうなったのだろうか?
このナインストーリーズを読み終わったら、他の作品も読んでみたくなってしまう。
サリンジャーは、父がユダヤ人、母がスコッチ・アイリッシュという家庭に生まれ
第2次世界大戦では、イギリスで諜報活動の訓練を受けたあと
ノルマンディー上陸作戦に参加しているという。
作品に出てくる若者は、どこか寂しく、物悲しく、あまり友達がいるともいえない。
大人達の作った社会や、エリート学校に、反発する、
若者の繊細な心理描写は、秀逸でかつ緻密な計算のうえに
組み立てられた洗練された文章だ。
ライ麦畑でつかまえて が、発売された当時、これを心理学の教材に
使ったりする学校があったり、また禁書目録に載せられたりして
学生が読むのを禁止するような学校が現れたという事実を知れば、
その実力は大きかったといえる。
しかし、一番影響を受けてショックだったのは、当時の大人達だったに違いない。
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