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2012.02.18

大空のサムライ かえらざる零戦隊

坂井三郎

いま、その名前を言ってもわからない若者が多い。

第二次世界大戦初期から中期にかけ、無敵の戦闘機だった零戦。

その零戦搭乗員として、日中戦争から硫黄島防衛まで
出撃すること200余回、大小64機を撃墜。
激戦の空を生き抜いた、撃墜王。
それが坂井三郎である。


本作品が発表されたのは、私が生まれるちょっと前くらいだ。
高度成長期に入っていた日本はすでにもう戦後という
時代ではなくなっていた。

大空のサムライは、世界各国の言語に訳されて、
第2次大戦時には、敵国であった米英でベストセラーとなった。

アマゾンの海外書評でも、素晴らしい評価がおおく見られる。

零戦は連合国にたいへん恐れられていた。
そのパイロットは、命を落とす事を何とも感じていないように
ほぼ丸裸の状態で、突っ込んで来ていた。
悪魔と呼ばれ、狂った人間の所業としか思われていなかったのが、

このSAMURAI(翻訳版の本書タイトル)により、日本のパイロットも
アメリカや他の国の若者と同じで、悩み苦しみ、家族や友人を愛し
それでも戦争という理不尽のなかで戦っていたということが
世界に知られる事となった。


本屋や図書館で見かける度に、ちょっとだけ斜め読みばかり
していて、ちゃんと読んだ事がずっとなかった。

欲しいと思った時に、本屋に売っていなかったりする。

やっと文庫本を神田でみつけた。
巻頭にある大空を飛ぶ零戦五二型。

1995年5月、茨城県の龍ヶ崎飛行場にて、終戦50周年を記念し、
かつて敵国同士だった両機が連れ添い、日本の空を飛んだときの勇姿。
これは私も観に行った。


戦記物ものでも、歴史物でも、伝記、偉人伝でもない。
冒険活劇というか、青春群像というか。

とにかく痛快で、豪傑、勇壮なる若者の自伝的回顧録なのだ。
そしてもちろん戦争の悲惨さをリアルに描いている作品だ。


坂井サンを兄貴と呼びたい。
読後の正直な感想だ。
坂井三郎氏も今はもう亡くなられてしまった。


幼い頃に父を亡くし、貧しい農家から脱出ために東京の
青山学院中学部へ進学するも問題を起こし中退。挫折。
佐賀へ帰ってくるも、大空を飛ぶ飛行機への憧れは
捨て切れず、海軍へ入隊。

海軍の花形であった砲手から、猛勉強のすえ霞ヶ浦海軍航空隊へ。

航空隊に入ってからの、複葉機での操縦訓練などは、今まで知る事の
なかった新人航空兵の教育現場だ。

当時の飛行機は今と比べれば、とってもアナログ。
コンパスも高度計もかなりアバウト。
レーダーも無線もGPSもない。

それなのに彼らは、数百キロという航行距離を一気に飛び、
適地上空での激しい空中戦を闘い、また来た空を
戻って来るのだ。

地平線まで続く高陵とした中国大陸。
果てしなく広がる紺碧の太平洋。

いったい何を目印にして、空を飛んでいるのだろうか。
山の形、険しい峡谷、川の流れ、小さな島、、。

隊長機についてこいと言われたって、いったん空戦に入ってしまうと
あっという間にはぐれてしまったりするんだろうな。

一小隊は、零戦3機編成。
若いパイロットを従えた坂井小隊長は、常に二人の動きを考えながら
空戦をおこなっている。
ある時は自分が手本となり先頭にたち、またあるときは夢中で敵機を追いかける
部下を上空から見守り、いつでも加勢が出来る位置で旋回。
また地上にいるときから生活をともにし、その絆は、兄弟や家族
以上のもので結ばれていた。


坂井の2番機として、常に片腕となり数十回の空戦を
ともに戦った本田二飛曹の戦死のストーリーである

半田飛曹長のなみだ

数ある悲しい零戦隊のストーリーの中でも、私が一番
感動し、胸が熱くなる思いがしたところだ。

ページがすすんでいくと
次々と優秀なパイロット、若者たちがあっけなく死んで逝く
話が多くなっていく。

歯がゆくて、悲しくてしょうがない。


ガダルカナル島の上空において、ドーントレスの集団からの攻撃にあい被弾。

右目の視力がほとんどなく、片手、片足での航行でたった一人、
無意識のうちに、4時間かけラバウル基地に奇跡の帰還。

その後、日本へ帰り、航空隊で若い10代の飛行兵を育てる教官となった。

昭和19年。戦況は悪化。
坂井も遂に硫黄島へ出撃することに。

右目の視力を失った坂井は、片目でも敵機を撃墜するという活躍を
見せたが、すでに日本は押される一方で、もう勝ち目はなかった。

そんな時に、全機、空戦は行わず、敵空母戦艦に体当たりせよ。

との日本海軍初の特攻命令が出る。

硫黄島では、戦闘に出る度に多くの零戦、爆撃機が落とされていき
戦艦からの艦砲射撃などからついに飛行機は無くなってしまう。


飛行機が一機もない硫黄島から、搭乗員は日本へ帰る事が出来た。
横須賀航空隊勤務となり、そこで終戦を迎える。

ここにあるのは、真実だ。

勇壮なる零戦空戦記録の決定版。
大空に命をかけて逞しく生きた若者の青春の記録だ。


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『大空のサムライ』は、坂井三郎役を藤岡弘が演じ映画化されています。

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